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幼少の頃、何の変哲もないがらくたを宝物にしていた。
道で拾ったミニカー、透き通った石ころ、海で見つけた巻貝・・・・。
捨てに捨てられない自分だけの宝物を小さな箱に入れていた。
毎日のように開けては中を見ていた。
出しては入れ、入れては出していた。
一年、二年と宝物がだんだんと大きくなっていく。
初めて買ってもらった自転車、ラジコンカー、飛行機のプラモデル、一週間ごとに模様替えをしていた。
部屋が宝物箱になった。
うれしさのあまり宝物箱の中ではなかなか寝つかれない。
でも、いい夢を見ていたような気がする。
大人になり、ふと自分の宝物は何だろうかと思ってしまう。見つからない・・・。
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今、私は漆という素材を使って宝物箱をつくる。
ひとつの作品に半年から一年、またはそれ以上の時間を費やす。
作品をつくっている間というのは、頭の中でいろいろなことを想像している。
何を入れようか、どこへ置こうかと・・・。
その間に手は形をつくり上げていく。
無意識のうちの気持ちというものは、昨日や今日に生まれるものではない。
私の手を動かすこの気持ちもそうである。
人は誰もが自分だけの、自分だけが知っている大切な宝物の思い出を持っている。 |
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池田 昭人 |
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